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【誤解】「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」の本当の意味【ドイツ語原文から解説】

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

こちらは、ドイツの名宰相ビスマルクの残した名言です。

※宰相=首相のこと。日本でいうところの内閣総理大臣。

意味としては「愚か者は経験しないと理解できないが、賢い人は経験せずとも過去の歴史からうまくいかなかったパターンを理解して備えることができる」といったところでしょうか。

しかしながら、ドイツ語の原文をたどってみると、やや意味が誤解されています。

そこで本記事では、誤解されがちな「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」の本当の意味を、ドイツ語原文を見ながら解説していきます。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」の本当の意味

それでは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」のドイツ語の原文を見てみましょう。

 

【参考】

・Nur = Only(唯一)
・ein Idiot = an idiot(愚者)
・glaubt = believe(信じる)
・aus = from(~から)
・eigenen = own(自分自身の)
・Erfahrungen = experience(経験)

・Ich = I(私は)
・anderer = another(別の)
・vorneherein = in advance(事前に)
・Fehler = error(誤り)
・vorneherein = avoid(避ける)

愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。

私はむしろ、事前に自らの誤りを避けるため、他人の経験から学ぶのを好む。

意訳版の「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」とは、やや意味合いが異なることがわかりますね。

 

経験は、そのまま経験で意味が通りますが「歴史 = 他人の失敗談」ということです。

中学・高校で勉強する日本史・世界史のような、いわゆる「歴史」ではありません。

 

ちなみに、英語版は以下です。

【英語版】

Fools say they learn from experience; I prefer to learn from the experience of others.

>愚者は自分の経験に学ぶと言う、私はむしろ他人の経験に学ぶのを好む。

 

最後に、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」を現実世界で実践するために、いくつか考察をあげます。

考察【1】他人の失敗を見れる環境にいるか

最初に注目したいのは、そもそも「他人の失敗を見れる環境にいるか」という問題です。

ビスマルクは、自らの誤ちを回避するために他人の失敗に学ぶと言いますが、その前提には「他人の失敗を見れる場所」が必要となります。

あえて言うなら、他人の失敗を見れる場所いなければ、学ぶことができません。

つまり「情報を収集できる環境が重要」だということがわかります。

考察【2】理想ではあるが、現実はやや実践的?

ビスマルクもそこまでは言っていないような気もしますが、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」は解釈によっては、自らの失敗を否定しているようにも見えます。

その部分を拡大解釈すると「失敗しないように行動しろ」とまで言えてしまいそうです。

しかしながら、現実においてはそんなシンプルな話ではなく、失敗しようがなんだろうが、失敗から学び、次に生かすことができればオーケーなところがあるので、失敗を恐れるあまり行動量が落ちてしまうなら再考が必要かもしれません。

さらに言えば、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」は「そして、聖人は経験から悟る」へと続いていく訳ですが、他人の失敗から悟ったところで行動をしなくては意味がないので、やはり現実は「行動」が第一という結論でよさそうです。